2022.01.11

安全キャビネット クラス分類別選定ガイド

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安全キャビネット(バイオセーフティーキャビネット)にはいくつかのクラスがあります。このクラスはどのように定義され、どこが異なっているのでしょうか? 安全キャビネットのクラスは、機能や保護の対象によってカテゴリーに分かれています。これらの「カテゴリー」には、クラスI、クラスII、およびクラスIIIがあります。
*以下は米国衛生基金(NSF International)・米国国家規格協会(ANSI)による「NSF/ANSI 49-2016」の分類に基づく。

クラスⅠ

クラスIは、作業者および環境を保護するための換気型の安全キャビネットと定義されます。クラスIの安全キャビネットでは試料を汚染から保護することができないため、用途は大幅に制限されます。また、非循環式の気流によって作業者から汚染物質を遠ざける構造になっています。クラスIの安全キャビネットは、気流のパターンがヒュームフード(ドラフトチャンバー)に類似していますが、排気口にHEPAフィルターを有します。外部へダクト接続がされる場合とされない場合があります。クラスIの安全キャビネットは、バイオセーフティーレベル (BSL) 1、2、または3 [P1/P2/P3レベル]の封じ込めを必要とする試料を安全に扱うことができます。クラスⅠ安全キャビネット

クラスIは、作業者および環境を保護するための換気型の安全キャビネットと定義されます。クラスIの安全キャビネットでは試料を汚染から保護することができないため、用途は大幅に制限されます。また、非循環式の気流によって作業者から汚染物質を遠ざける構造になっています。クラスIの安全キャビネットは、気流のパターンがヒュームフード(ドラフトチャンバー)に類似していますが、排気口にHEPAフィルターを有します。外部へダクト接続がされる場合とされない場合があります。クラスIの安全キャビネットは、バイオセーフティーレベル (BSL) 1、2、または3 [P1/P2/P3レベル]の封じ込めを必要とする試料を安全に扱うことができます。タイプA2安全キャビネット

クラスⅡ

クラスIIは、微生物学的な作業または無菌調剤の際に、作業者、試料、環境の保護を目的とする換気型の安全キャビネットと定義されます。クラスIIの安全キャビネットは前面が開口しており、庫内へ流入する気流(作業者保護)、HEPAフィルターを通過して下向きに吹き出す気流(試料保護)、およびHEPAフィルターでろ過された排気(環境保護)を備えた設計になっています。これらの安全キャビネットは、構造、気流、排気システムに基づいて、さらにタイプが区分されます。タイプには、A1、A2、B1、B2、C1があります。これらクラスIIキャビネットは汚染されたダクトおよびプレナムがすべて陰圧下にあるか、陰圧のダクトとプレナムに囲われている必要があります。タイプB2の安全キャビネットはこれに加えて、汚染されたダクトおよびプレナムがすべて陰圧下にあるか、または直接排気された陰圧のダクトとプレナムに囲われている必要があります。クラスIと同様に、クラスIIの安全キャビネットは、バイオセーフティーレベル1、2または3 [P1~P3レベル]の封じ込めを必要とする試料を安全に扱うことができます。

タイプA1
クラスIIタイプA1の安全キャビネットは、サッシ開口部からの平均流入風速が0.38m/s (75fpm)以上を維持する必要があります。HEPAフィルターでろ過された空気を実験室内に循環させるか、キャノピーを接続して外部に排気することができます。揮発性の有害化学物質や放射性核種を含まないバイオ試料を扱う作業には適するが、危険な調剤の無菌操作には適しません。

タイプA2
クラスIIのタイプA2は、サッシ開口部からの平均流入風速が0.51m/s (100fpm)以上を維持する必要があります。タイプA1の安全キャビネットと同様に、HEPAフィルターでろ過された空気を実験室内に循環させるか、キャノピーを接続して外部に排気することができます。キャノピーを接続したA2タイプの安全キャビネットは、微量の有害化学物質で処理されたバイオ試料を含む作業を安全に行うことができます。また、吹出し空気を循環させても支障をきたさなければ、微量の放射性核種トレーサーを扱うこともできます。

クラスⅡタイプA安全キャビネット
クラスⅡタイプA安全キャビネット

タイプB1
クラスIIのタイプB1は、サッシ開口部からの平均流入風速が0.51m/s (100fpm)以上を維持する必要があります。HEPAフィルターでろ過された吹出し空気のほとんどは、汚染されていない循環した流入空気です。汚染された吹出し空気のほとんどは、HEPAフィルターを通過したあと、外部へ接続された専用のダクトを通って排気されます。タイプB1の安全キャビネットは、タイプA2と同様に、吹出し空気中に化学物質や放射性核種が循環しても作業に支障がなければ、微量の化学物質やトレーサー量の放射性核種で処理された試料を安全に扱うことができます。一方タイプA2と異なるのは、タイプB1の安全キャビネットには直接排気エリア(この部分は表示されていないため、HEPAフィルターの負荷に応じて気流のパターンが変化する)がある点であり、吹出し空気中に循環させることのできない微量の化学物質や放射性核種を含む作業にも適しています。

タイプB2
クラスIIのタイプB2は、サッシ開口部からの平均流入速度が0.51m/s (100fpm)以上を維持する必要があります。実験室または外気から空気を取り込み、HEPAフィルターでろ過した吹出し空気(安全キャビネットの排気からは循環させない)を利用します。流入空気と吹出し空気はHEPAフィルターでろ過されたあと、すべて外部に排気されます。排気が安全キャビネット内や実験室内に循環されることはありません。このため、「100%排気」または「全排気型」の安全キャビネットと呼ばれることがあります。タイプB2の安全キャビネットは、化学物質や放射性核種を使用する作業に適しています。

クラスⅡタイプB安全キャビネット
クラスⅡタイプB安全キャビネット

タイプC1
クラスⅡのタイプC1は、サッシ開口部からの平均流入速度が0.51m/s (100fpm)以上を維持する必要があります。タイプC1の安全キャビネットは、循環モードのときはタイプAの安全キャビネットとして、排気モードのときはタイプBとして動作するという点に特徴があります。タイプC1の安全キャビネットは、排気を接続あるいは外したとき、再設定を行うことで素早くモードを変更することができます。また、タイプC1は、両側面を保管スペース、中央部を作業用のスペースとして明確に区分けした作業面を採用しています。中央の作業エリアの空気は、Bモード時に直接排気されるため、有害ガスや放射性核種の使用に適しています。

クラスⅢ

クラスIIIは、完全に密閉された換気式の安全キャビネットと定義されます。漏れのない構造で、庫内で作業するためのグローブが付属しています。クラスIIIの安全キャビネットは、グローブボックスとも呼ばれます。安全キャビネットには、庫内から取り出す前に試料を除染するためのトランスファーチャンバーがあります。庫内は陰圧に保たれ、供給される空気はHEPAフィルターでろ過されます。排気は二重のHEPAフィルターでろ過するか、またはHEPAフィルターでろ過したのち焼却する方法で処理されます。クラスIIIの安全キャビネットは、バイオセーフティーレベル1、2、3または4 [P1~P4レベル]の封じ込めを必要とする作業を安全に行うことができます。
*本記事はLabconco Corporation.による記事を要約したものであり、日本国内での法規・基準などと異なる場合があります。原文はこちらよりご確認ください。


*日本国内では、日本産業規格「JIS K 3800:2009」が「バイオハザード対策用クラスIIキャビネット」の規格として定められています。上記したNSF規格を基に制定されていますが、一部技術的内容が変更されています。
JIS K 3800が規定するクラスⅡキャビネットの分類を以下に紹介します。

タイプA1タイプA2タイプB1タイプB2
使用目的生物材料及び不揮発性有害物質の取扱い(少量の揮発性物質・ガスの取扱いを含む)生物材料及び相当量の揮発性有害物質の取扱い
排気室内排気(少量の揮発性有害物質・ガスの使用には開放式接続ダクトによる室外排気)密閉式接続ダクトによる室外排気
循環気率約70%約70%約50%0%
平均流入風速0.40m/s以上0.50m/s以上
※上記の表はJIS規格の一部項目のみを記載しています。規格の全内容については、日本産業規格の原本をご確認ください。

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