ヒュームフード(ドラフトチャンバー)の省エネ化なくしてラボの「電気代削減」は実現不可能!?
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原油価格高騰やウクライナ情勢などの様々な要因により、未曾有の電気料金高騰が続いています。追い打ちをかけるように、大手電力会社の多くが2023年4月以降の値上げを経済産業省に申請したと発表しました*。このように電気料金の高騰が今後も続くと予想される状況のなかで、各企業の電気代削減の取り組みがますます重要になっています。
*2023年2月14日時点では経済産業省から値上げの許可はおりていません。
ラボにおいても、電気代削減は避けては通れない課題です。なかでも、ヒュームフード(ドラフトチャンバー)に関わるエネルギー消費は膨大で、全体の50%をも占めると言われています。ヒュームフードは冷暖房の効いた空気を屋外に排気するため、それに伴う室内への給気と温度調整が必要となり、大量のエネルギーを消費してしまうのです。せっかく温度調整した空気を捨て続けるのは、エネルギーの「ムダ使い」と言えるでしょう。
本コラムでは、ラボの電気代削減対策のひとつとして、空調負荷の少ない省エネ型ヒュームフードをご紹介します。
1. ヒュームフードの膨大なエネルギー消費量とその原因
1台で一般家庭の2倍のエネルギーを消費!?
ヒュームフードは1台あたりどれぐらいのエネルギーを消費するのでしょうか? 以下の条件で試算を行いました。
- 一般的なヒュームフード(幅1800mm、排気風量22m3/min)を1日8時間×240日運転
- 屋上に設置した排気ファン(出力0.75kW)で排気
- 外調機で冷暖房の効いた空気を排気した量と同じ分だけ給気
- 電気代は31円/kWhとして算出
(全国家庭電気製品公正取引協議会「新電気料金目安単価」より)
結果、年間消費電力は約8,800kWhとなりました。これは電気代にすると約273,000円に相当します。
約273,000円と言われてもピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。ここでは一例として、一般家庭における1年間の電気代と比較してみます。環境省の調査によると2017年度に1世帯が1年間に消費した電力は、全国平均で4,322kWhです。これを電気代に換算すると約134,000円になります。つまり、1台のヒュームフードに関わる電気代は、1世帯の約2倍に相当します。
※本試算は参考値です。実際のエネルギー消費量は様々な要因によって異なります。
2. エネルギー消費量を大きく削減する「ダクトレスヒュームフード」
空調ロス"ゼロ"で電気代を大幅に削減
では、どのようにヒュームフードの電気代を削減すればよいのでしょうか?そんな時に役立つのがダクトレスヒュームフードです。ダクトレスヒュームフードは、有害物質を高性能フィルターで除去し、空気を室内に循環させるタイプのヒュームフードです。室外に空気を排出しないため、排気を補うための給気を行う必要がありません。上記試算に用いたヒュームフードと同じ幅の機種でも消費電力は0.22kWhで、1日8時間×240日運転とすると、年間消費電力は約430kWhとなります。これは電気代で約13,400円になります。屋外排気方式のヒュームフードと比較すると、年間電気代を約95%も削減することが可能です。
3. 安全性と省エネルギーを両立することが重要
ダクトの「あり/なし」を使い分ける
省エネ性に非常に優れるダクトレスヒュームフードですが、万能ではありません。作業内容や使用薬品によってはフィルターでの除去が難しく、ダクトレスヒュームフードでは安全性が確保できない場合があります。そのような作業を行う場合は屋外排気方式のヒュームフード、決まった薬品を比較的少量扱う場面ではダクトレスヒュームフードと使い分けることで安全性と省エネルギーを両立することができます。
ダクトレスの使用時は、使用薬品や作業内容を専用の調査表に記入していただき、それをもとに最適な機種をご提案いたします。
4. 屋外排気方式の際には低風量型/VAV型ヒュームフード
低風量型やVAV型ヒュームフードで電気代を削減
封じ込め技術・制御技術の進歩で、かつては⼤量の室内空気を屋外排気していたヒュームフードも空調負荷を抑えることが可能になりました。屋外排気方式のヒュームフードが必要となる場合でも、必要排気風量の少ない低風量型やサッシ開度によって風量を変動させるVAV(排気量可変)型を選定することで、電気代の削減につながります。