柔軟性に優れた施設運用を可能にするタイプC1安全キャビネット

Creating an adaptable lab with biosafety needs

By Scott Anthony Patterson, Marketing Content Manager, Labconco

米国には、”Hindsight is 20/20”という表現がある。振り返ってみれば物事がよく見えるという意味で、先見性がないことを説明するために使用される言い訳であるが、実験室の設計において、この言い訳を使うことは許されない。科学とは、変革をもたらす発見であり、将来に備えた適応性と柔軟性を実験室は備えていなければならないためである。
 
* ”Hindsight”は後知恵という意。”20/20”は米国やヨーロッパ圏の国々で行われる視力測定において、矯正のいらないレベルであることを示す。
 
適応性と柔軟性という単語は、実験室の設計に関するコンテキストにおいて、定期的に使用される。これらの単語は同じ意味で使用されることもあるが、それらの定義はしばしば対照的である。適応性は長期的な変化への対応を、柔軟性はより短期的な変化への対応を意味する場合がある。適応性を重視して、長期的に使用可能な実験室を設計する、短期的な柔軟性を重視して可動式の壁を使用し、作業スペースの数を変化できるように設計する、などの設計思想が存在する。
 

安全キャビネットタイプB(100%屋外排気タイプ)

実験室の設計にあたり、特別考慮が必要な設備機器のひとつがクラスⅡタイプBの安全キャビネット(セーフティーキャビネット)である。タイプBには専用の排気系統が必要であり、建物全体の排気システムに負担がかかる。構造上クラスⅡタイプBの安全キャビネットは必要排気風量、エネルギー消費量が多い。また、排気された分の空気を室内に給気する必要があるため、給気空調にも多大なエネルギー消費(=コスト)が発生する。また、研究内容が変わり、屋外排気が不要になった場合でも、容易に移動することができない。
 
このようなタイプBに変わる新たな選択肢がタイプC1であるといえる。
  

安全キャビネットタイプC1

タイプC1の安全キャビネットは、他の排気システムと同じ排気系統に接続することが可能である。また、揮発性のある化学物質を使用しない場合には、Aモードに切り替えることで、HEPAフィルターにて処理された空気を室内に循環排気させることができる。ダクトと接続する場合には、Bモードに切り替えることで、60%の空気をキャビネット庫内で循環させつつ、Bタイプと同様に安全性を確保することができる。タイプBが必要となるような場合でも、タイプC1を導入することにより、将来的にタイプAとして使用できる適応性を持ちつつ、タイプBよりも比較して省エネルギーな設計を可能とする。
 

室内循環排気/屋外排気 2つの運転モード

 

  Aモード(室内循環排気) Bモード(屋外排気)
対象取扱物質 微生物・病原体 ケミカルハザード物質・放射性物質
室内エアー
室内循環エリア(ケムゾーン™以外)からの排気エアー
給気HEPAフィルターで処理

作業庫内へ循環
給気HEPAフィルターで処理

作業庫内へ循環
直接排気エリア(ケムゾーン™)からの排気エアー 排気HEPAフィルターで処理

室内へ循環排気
排気HEPAフィルターで処理

ダクト接続にて屋外排気
 

気流図‐Aモード(室内循環排気)
 

気流図‐Bモード(屋外排気)
 

 
 
*本記事はLabconco Corporation.による記事を要約したものであり、日本国内での法規・基準などと異なる場合があります。原文はこちらよりご確認ください 

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