大日本住友製薬株式会社 化学研究棟

大日本住友製薬株式会社
化学研究棟

Client: 大日本住友製薬株式会社
Location: 大阪府大阪市
Completion: 2013年5月
Design: プラナス株式会社

空気動線のオペレーションに挑む


創薬の初期探索から製造までの一貫した製薬研究開発を行う拠点として各地に分散していた研究拠点を集約・効率化を図るにあたり、使い勝手や安全性を確保した施設であることはもちろん、コミュニケーションを活発化し、創造的な研究環境を整備することがクライアントの課題でした。

拠点の統合にあたり、一つの建物内に多数のヒュームフードを設置することが必要になりましたが、ORIENTAL独自のラボマネジメントシステムを導入することで、効率的なエネルギー運用が可能になりました。

人と、地球と、企業にやさしい省エネ型ヒュームフード


化学実験の作業ベースとなるヒュームフード。
安全のためとはいえ、暖房や冷房で空調された空気を屋外に排出するヒュームフードは莫大なエネルギーとコストを消費してしまいます。本拠点では数百台のヒュームフードが設置されていますが、最先端のセンシング技術とヒュームフード間連動制御システムを最大限に活用することで、大幅な省エネ化を実現しました。

本拠点は、空調エネルギーが甚大な化学系の研究所でありながら、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)Aクラスを取得されています。

「粉モノ」の取り扱いに特化した封じ込めシステム


製薬過程において必ずと言っていいほど使用される「医薬原料粉体」。その中でも、目に見えないごく僅かな量で人体に影響を与えうる高薬理活性物質(HPAPI)の取り扱いは近年問題となっており、確かな封じ込め性能を持つ対策設備を使用することが強く求められています。

このようなHPAPIの取り扱いを容易にするために、高封じ込め性能を有しつつも全面パネルを取り外すことにより様々な作業に対応できる「ハイブリッドアイソレーター」を採用しました。

危険度に応じて封じ込め設備の使い分けを


ハイブリッドアイソレーターが設置されるエリアには、ヒュームフードやダクトレスヒュームフードなどの異なる封じ込め装置も設置しており、薬品の危険度に応じた最適な作業スペースの選択を行うことが可能になりました。危険度に対して適切な封じ込め措置を行うことは、作業者の安全を守るだけでなく、各機器の品質を的確に保ち、寿命を延ばすことにも繋がります。

人が集まる「鮟鱇」カウンター


拠点の集約にあたって、今まで出会わなかった人々との出会いやコミュニケーションが生まれます。本研究棟の設計を担ったプラナス株式会社(一級建築士事務所)により、新たな出会いがより多く、より活発になるように、コーヒーブレイクの際にも自然に人が寄りかかり、卓を囲んで議論ができるようなバーカウンターが配置されています。建物の構造と研究者の動線を綿密にシミュレーションした上でカウンターの設置場所と部屋内の配置を行っており、さながら「鮟鱇」のように、提灯型のライトの元にいつでも人が集う工夫がなされています。

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