オリエンタル技研 総合カタログ CO39
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022 複雑な自然の謎を紐解く研究者に必要なのは、研究に集中できる環境です。危険性なく、中断や妨害されることのない最高の環境を提供し、その活動をサポートすることは、研究施設をデザインする私たちの使命であると考えています。 日本の研究施設は、沈思黙考に寄与するような快適な場所とは言えないのが現状です。そのため、私たちが提案する施設では、実験等に集中する作業スペースと、実験結果の解析やフォローアップ作業を行うデスクワーク区画を区分。机を通路端の行き止まりスペースに配置し、ラボのその他の活動によってデスクワークが妨げられることが少ない静かな環境を確保しています。また、音の大きな機材類はラボの外に配置しています。 例えば、膨大な時間を費やす精製作業を行う場合、たった一度の操作ミスが今まで行ってきた作業を全て台無しにしてしまうこともあり得ます。だからこそ集中力が非常に重要になるのです。研究者たちがやり取りを重ねるコミュニケーションゾーンは、ラボの外側に配置するなど、考え抜かれた空間設計となっています。 領域横断的・学際的研究といった新しい研究スタイルに応える空間デザインは、今後ますます求められるでしょう。 私が設計を手掛けた「沖縄科学技術大学院大学(OIST)」では、物理学者、生物学者、化学者や数学者たちが協働する環境を創り出そうと試“沈思黙考”に寄与する、快適で居心地の良い場を提供多分野横断型という新たな研究ニーズに対応した「沖縄科学技術大学院大学」 また、ラボで目にする排気フードや冷蔵庫、冷凍庫、インキュベーターといった器具の無機質で魅力に乏しい要素を最小限に抑えるため、アクセントとなる数色の強い色を用いています。器具類の視覚的なインパクトを和らげ、照明計画との絶妙な組み合わせにより、研究者たちがほとんどの時間を過ごす空間をより穏やかに感じられるようにしています。 より良い研究環境を提供しようとする建築家にとって、自然も大きな手助けとなり得ます。自然光、庭や山々の眺望など、内部が外部とつながっているように感じられる開放的で広々とした空間は、視覚的な快適さと安らかな場所を提供します。これは、根本的な6つの要素全てを向上させるのに有効です。

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