オリエンタル技研 総合カタログ CO39
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 今まで述べてきた考えを集約した製品が、「NOCE」シリーズ、「RACINE」シリーズです。最初の製品NOCEを手掛ける際は、デザイン責任者として、「オリエンタル技研工業の企業使命を遂行するために、どのようなクリエイティブディレクションが必要か」を設定するところから開始しました。 研究設備において、安全性や機能性、エルゴノミクスの追求は最重要項目です。それら必須項目については高い次元でクリアさせています。ただそれだけでは、歴史を持つ欧米の製品以上のものを作ることはできないわけです。研究者の創造性を高め、科学の進化を牽引する―オリエンタル技研工業独自のデザインスタイルの確立を目指し、「研究により集中でき成果をサポートする」ことを、デザイン目標(Design Objective)に掲げました。 注力したのは、エルゴノミクスの追求に加えて、研究過程のストレスやフラストレーションを軽減する心理的リラクゼーション効果を機器に持たせること。実験機器にあまりみられないカラーリング、フォルムのディテールへのこだわりなどがそれにあたります。機能的にも情緒的にも快適な研究空間は、研究者の精神の集中と解放を促し、間接的に創造性を高める役割を果たします。例えば、美しい景色を目の前にするとホッと肩の力が抜ける…ということがあると思いますが、細部まで配慮を行き届かせた美しいフォルムは、同じように心地よさをもたらしてくれるはずです。 また、科学技術の研究現場は今、領域横断型研究や共同研究など、新しい研究スタイルが主流となってきています。そのような現状に鑑み、研究者の「知の交流」を促進する作業空間を創出することもデザインコンセプトとしました。研究者の創造性を触発し、そして人と人のコミュニケーションを促す。モノ(設備・機器)から、そのような空気や動きを創り上げることができると私は考えます。研究者の知の交流、精神の集中と解放を促す独自デザインを追求 欧米に比べ、日本はこのポイントの解析が充分でなく遅れていると感じています。例えば、握る部位一つをとっても、握り方も人それぞれで、力の有る無しによっても異なります。様々なケースの解析・検討が必要ということです。 オリエンタル技研工業のプロダクトデザインを担当するにあたっては、実際の研究者がどういう行動をするか、徹底的にリサーチを行いました。視角範囲、動作範囲、観察範囲を充分に理解し、また作業者の動線や接触部位、非接触部位をしっかり掴んだ上で、設備・機器をデザイン。サイズや位置、ディテールにも配慮を行き届かせ、細部にわたるユーザビリティーを追求し、あらゆる研究作業の最適化を目指しました。017

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